高円寺おだづもっこ(応援団vol.9参照)で気仙沼の先輩たちと飲んでいると、1人の先輩が思い立ったように「そうだ、2次会行こう！」と言い出した。23時過ぎのことだった。
満腹だったし時間も時間だったので、帰ろうとした私の耳に飛び込んできた言葉は「気仙沼の先輩が近くにバルをOPENさせたらしいんだ。」
圏外だった気仙沼アンテナがバリ3になり、私の足を家ではなく2次会へ向かわせた。

Bar GREGOR(バー グレゴール)、高円寺駅南口から5分ほど歩いた場所、看板を出さない隠れ家バルは雑居ビルの2Fでひときわ存在感を放っていた。
いわき ひであきさん。気仙沼市古町出身の38歳。ヒデさんと呼ばれる面倒見の良い兄貴肌の男、だが昔は相当なやんちゃだったそうだ。

窮屈な田舎町を早く抜け出して外の世界に出たい！高校を卒業した19歳の青年が目指した場所は日本を飛び越えフランスだった。理由を聞くと「フランスが好きだった、ただそれだけ。若かったんだな」と言って笑った。
何のアテもないまま向かったフランスで、働く場所を探した。縁あって出会ったレストランで料理の奥深さにはまっていく。言葉の壁を聞くと「気仙沼弁のなまりはフランス語の発音と通じるものがあって意外と早くなじめたよ。」そんなエピソードも教えてくれた。
フランスで過ごした3年間は、何より地元気仙沼や母国日本を客観的に見直すいい時間となった。これは書くなと言われたのだが、嫌いで飛び出したはずのふるさとが大好きになったそうだ。

帰国後、高円寺を拠点にカフェやバルでシェフとして働き、2013年クリスマスにBar GREGORをオープンする。常連さんは「高円寺ではぶっちぎりに美味い店」と太鼓判を押す。
黒胡椒とパルメザンチーズのピザ、トリッパ、豚レバースモーク、牡蠣のアヒージョ、生ハム、ゴルゴンゾーラのハニーなんとか…。お酒が入り満腹中枢がやられた先輩たちが真夜中にフルコースのオーダーをする。無理ですよとディフェンスに入っていた私も、次々と出てくる本格フレンチに食欲が勝る。

ペロリ完食、ごちそうさまでした！
高円寺の隠れ家バル グレゴール、本当は教えたくないところですが気仙沼ラブなみなさんにだけ特別です♡